日記

【窪田まみ初個展】『あるかも知れないどこか』に行ってきた。

投稿日:2018/12/17 更新日:

 練馬駅の北口から出て、近代的な建物の区民プラザを横目にアートカフェへの道を歩いていくと、だんだんと町の風景がゆらいでいき、どこか昭和への郷愁を感じさせる景観がたち現れる。散歩には最高のロケーションだ。そして、今は多少寂れてしまっている商店街の一角に、その小さなアートカフェはあった。入り口はわかりにくいが、プリミティブなペンギンの人形が目印になっている。

Duh0zE_V4AAnXvv

 

 入るとカウンターがひとつあるこじんまりとした店内で、壁に窪田さんの作品が並べられている。約束をしていた、気の合う者であつまったサークルの、でもお互いのことをそれほど知っているわけではない仲間たちはすでに店に到着している。

aaaa

 

 仲間たちや、センスのいい店主の女性と軽い談笑を交わしながら、作品を見ていく。そして、カウンターに座り、店自慢のコーヒーや健康にも気を使っていそうなスープを口に運びながら、居心地の良い空間とおしゃべりを愉しんだ。

fff

 

 「僕は窪田さんの作品に独特なアンニュイさと生命の力強さを感じるんだ」

 「そうだね、僕もそう思うよ、彼女作品は単なるアブストラクトじゃなくて、無意識に形成された物語を感じる、これは君が言っている事と同じかもしれないけど」

 「同じだなんてことはないさ、みんな違う」

 「そうかもしれない」

 「なぜ彼女は豆イカを描くのかな、そんなことを考えるのは無意味かもしれないけど」

 「豆イカは彼女にとって不安定な人間や世界を象徴する、ひとつのメタファーなのさ」

 「豆イカは海のUFOだね」

 「君と意見が合ったのは久しぶりじゃないかな。そういえば、僕らの今度の同人誌の特集は『宇宙<そら>から来ないUFO』で、海のUFOについても触れていたよね」

 「ああ、そうだったね、オンラインでも注文できるようにしてあるから、いろんな人に読んでほしいね。アドレスは忘れてしまったけど

ccc

ddd

 

 僕らは、今やあまり真面目に振り返られることのない空飛ぶ円盤やUFOの同人誌をつくっている仲間だ。その同人誌の表紙や挿絵をいつも描いてもらっているのが窪田さんだった。僕と彼女とはソーシャルネットワークの殺伐とした言葉の海の中で会って、卒業したデザイン学校などに共通点があったこともあって親しくなった。緻密にボールペンで描き込まれた現在の作品は、この同人誌の雰囲気とよく合っていて、評判もよい。同人誌ならどれもそうだろうが、さほど売れることもなく原稿料すら払えないこの同人誌にあって、圧倒的なオリジナリティとクオリティを持つ彼女の作品をつかえることは贅沢で、それはこの同人誌のひとつの価値となっている。

 この豆イカのシリーズを描きだしたのも、知り合ってからだと思う。僕たちの同人誌が何らかの良い影響を与えているのならよいのだが。そんなことを話す。

IMG_20181216_123212

 

 他のお客さんが来たこともあって、カウンターから立ち上がってまた作品を眺める。今度は近寄ってじっくりと。細部を切り取ったとしても作品として成立するのではないかと思えるほどの緻密さにあらためて驚くとともに、しっとりとした世界につつまれていく。そこは確かに、手の届かない場所にあるようでいて、実はとても近くにあるのかもしれない、あるかも知れないどこかだった。

eee

 

kubota

窪田まみさんの初個展は今月28日まで。詳細はコチラから

(じゅ、重大な間違いをシレっと修正しました)

-日記

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

関連記事

WS000004

編集長の日記#6―資料性博覧会で『UFO手帖 創刊号』を頒布します。と虚構と大事。

最近はもっぱら、ビットコインだ、イーサリアムだ、ブロックチェーンだと、意識高い系のことばかりツイートしている私ですが、UFOのことを忘れたわけではありません。実際は逆にUFOの事を書かなければならない …

ws000023

編集長の日記#2―『UFO手帖』はかく語りき(1)表紙

今年もおしせまってまいりまくり、残すところあと3日です。毎日のようにくだらなくてつまらないオカルト特番がテレビを賑わしていますが、いかがお過ごしでしょう。僕はこういう番組を見ないことにしようと決めたの …

1_small

編集長の日記#4―Harold Dahl’s dog’s body was buried at sea.(ハロルド・ダールの犬は海に埋葬されました)

UFO手帖ではないのだが、一般書籍用の原稿としていくつかのUFO事件について調べている。そんなことをしていると他人にはど~~~でもいいだろうことが気になりだしてきて、本来調べることよりむしろ興味が湧い …

temple

【UFO散歩#1】神と直接コミュニケーションできるオペレーティング・システム「TempleOS(テンプルOS)」

UFO手帖の宣伝も兼ねて、この「UFO散歩」というシリーズのエッセイを始めることにした。その第一回目からUFOとあまり関係ない話で恐縮であるが、散歩とは本来、目的論や合理主義から外れたところにあるもの …

Buck Nelson Flying Saucer Convention 06-28-1966

編集長の日記#5―Buck Nelson said no one could see him as Bo was to shy.(バック・ネルソンは、ボーが恥ずかしがり屋なので、誰も彼を見ることができないと言った)

またしても犬である。今回は1950年代から60年代に活躍したバック・ネルソンというコンタクティーにまつわる犬の話である。このブログのタイトルにした「Buck Nelson said no one co …